らじうむの月

生んでみせる

君よ聞かないで、


架空のあなたに向けた架空のラブレター(絶縁状)です。

あなたの好きなところは死ぬほどあります、美味しいものが好きなところ、映画の感想を真摯に伝えてくれるところ、優しいところ、細かなところに気がついてくれるところ、ドンピシャな展示に誘ってくれるところ、お箸の持ち方が美しいところ、いただきますという時に手を合わせるところ、爆笑する時に目尻がぐーっとさがるところ、言葉遊びに付き合ってくれるところ。でも実は、嫌いなところは、同じくらいあります。

わたしが何度も真剣に好意を伝えて、それを受け取れないと言いながら何度も遊びに誘ってくるところ、家まで上げてしまうところ、酔っ払ったわたしの手を取ってしまうところ、女友達に嫉妬するところ。自分に好意をもっていると知りながら「あなたは最高の友達だ」などとのたまうところ。わたしに「一応まだ好意があるのでそのような行いはやめていただきたい」などと言わせないでください。
羅列してみると、嫌いというよりは、あなたの最悪なところです。この世の何よりも最悪です、好きじゃなかったらとっくに愛想つかされてるってわかってるんでしょうか。自分のことを好きでいてくれる人と会うと何かが満たされるのかもね、そうかもね、わたしは、会う度に嬉しいけれど、そのあとはずっとずっとすり減って落ち込んで、なにかが減ったような気がします。もはやここまでくると、わたしの気持ちも好意と呼べるのかわからなくなってきました。うん、信仰とかなのかもしれないね。それはもう、「恋愛」にしてはいけないよね。というか、できないよね。わたしが信仰から脱却できれば、あるいは、かもしれないけど、そもそもあなたにその気がないものね。君よ、どうかわたしと似た女の子とは付き合わないでね。幸せになるなら、わたしとは全然違う、とにかく全然違う女の子と幸せになってね。さようなら。